布団の未来
綿屋という業者が本業を廃止して、副業であった寝具の二次製品の販売店、つまり寝具商店に転向しつつあるわけです。
もしこの現象がさらに拡大してくるならば、われわれの家庭にある寝具の木綿ワタは、いつかは廃業せざるを得ないことになるでしょう(木綿ワタの打ち直しは2年に1度が理想とされています)。
・・・してみるとこの現象は単に業界の一角における異変というのみではなく、風俗史上看過ごしえない問題点となる可能性を多分にはらんでいるのです。
以上にもっぱら羽根 布団の面について述べたのですが、敷ぶとんの方面にもほぼ同様の現象が現われています。
従来の敷布団に代わるものとして、合成ゴムのマットレスとかフォーム・ラバーと銘うった製品があらわれたのは昭和25、6年頃でした。
前にあげた市場調査の結果でも、保有率12パーセントとあって、下敷夜具のみを対象とすれば、すでに4人に1人がこの種の製品を使用していたことになります。
この新製品は何よりもまず弾性復元力にすぐれており、したがって打ち直しはもとより、被に干す必要もないという利点が買われたものです。
しかし、使用の結果はかえって寝疲れするという反省があり、学界からもいわゆるフワフワ・ムードに対する警告があって、目下のところ一つの転機に立ち至っているようにもみうけられます。
今ひとつ、畳そのものにも「化学畳」という新製品の出現があります。
これは昭和40年ごろから一般市場に出回ってきたもので、畳表と縁(へり)とは従来と同じですが、床(とこ)が違っています。
従来の畳床は藁を素材としていましたが、化学畳は合成繊維板と発泡体(はっぽうたい)のスチロール樹脂を配合したもので、軽く(従来の畳の4分の1程度)、耐火性があり、湿気やほこりを吸わないといった利点があるといいます。
畳は近世にはいってから寝具としての役割をフトンにゆずったわけですが、畳が日本住宅でどの程度の利用度を保っていくかは、将来の住宅構造あるいは生活様式に重大なかかわりがあります。
ひいては未来の寝具史にもかかわりがある以上、畳の行方も決して軽視すべきでないと考えています。