布団の歴史を紐解く

天保6年(1835)の『北越雪譜』をみると、貧しい村落の生活を記しています。


もっとも、ここにも記しているように、かつては特に寝具というようなものはなかったのですが、江戸時代にはいってから、この山村のうちで、ただ二軒だけは夜具を備えるようになったという記述が続いています。


・・・しかし、その夜具というものも、「夜着・蒲団」の類ではなくて、じつはオロ(イラクサ)の繊維で織った布を用い、綿のかわりにオロの屑を中に入れたいわば代用品。


しかも、それはもっぱら来客の用に備えたものであったというのです。


天明4年(1789)に秋田を旅行した菅江真澄の紀行『鰐田濃刈寝』にも、この地方では海藻を乾燥させて寝具を作る貧困な生活のあったことが語られています。


また、東北地方にはヨブスマ(訛ってユブシマともエブスマともいった)というものがありました。


これは


「大きな麻の衣の中にオグソ(苧津・大麻の表皮のこと)を入れて脱け落ちぬように糸で細かく綴じたものや、麻のポロ切れを重ねて刺した夜具のこと」


・・・だそうです。


そして、


「ワラの上に寝てこれを掛け、更に上からワラをかける。」


・・・という就寝風俗が長く行なわれていました。


このような寒村に存続していた貧しい寝具の例は枚挙にいとまないものです。


江戸の市中においても天徳寺(てんとくじ)とよばれる紙の寝具が用いられていたことは注目しておく必要があるでしょう。

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